2021年12月7日
前回に続いて、飲食業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)について解説します。今回フォーカスするのは、DXを実現するための、キャッシュレス化やモバイルオーダーなど具体的な取り組みです。配膳ロボットとモバイルオーダーを組み合わせた店舗モデルを検討するきっかけになると嬉しいです。なお、DXについての概要は「外食産業もDX時代へー前編ー」をご覧ください。
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さっそく、飲食業界DXの1つであるキャッシュレス化について、経済産業省の公開資料『キャッシュレスパンフレット』を参考に解説します。
ファストフード店などではモバイルオーダーが導入されており、キャッシュレス決済が可能です。
ですが、まだまだ飲食店ではモバイルオーダーおよびキャッシュレス決済が浸透しているとはいえません。経済産業省の調査によると、飲食店がキャッシュレス決済を導入しない理由として、次のような事情があげられています。
(参考:経済産業省『キャッシュレス決済 実態調査アンケート 集計結果』)
そもそも、日本では次の理由により、業界にかかわらずキャッシュレス化が進んでいないのが現状です。
など、日本の良いところが現金を利用する傾向につながっているとのことです。
キャッシュレス化を推進したい政府サイドでは、事業者に向けた初期費用・手数料対策の検討を進めています。ポイントバックキャンペーンなどで少しずつ普及しているといった現状です。
キャッシュレスの手段は、クレジットカード・デビットカード・電子マネー・スマートフォンなどです。決済するために必要な端末は、IC端末・非接触式IC端末・QRコード読み取り機・スマートフォンなどです。
キャッシュレス決済の前提となるクレジット決済の仕組みは、
などの事業者により行われます。そのため、手数料が発生します。
モバイルキャッシュレス決済は、アプリを経由して行います。
(画像元:経済産業省キャッシュレス推進室『キャッシュレス関連用語集』)
キャッシュレス化により、飲食店の注文と決済を自動化することができます。顧客側に、次のようなメリットがあります。
など、様々なメリットがあります。
これまで浸透が難しかった業態でも、SDGsへ向けた取り組みや、経済産業省による「DX認定制度」、厚生労働省からの非接触実現のための業務ガイドラインなどに応じてキャッシュレス化が加速しています。
ここまでモバイルオーダーシステムについて必要なキャッシュレス化についてお伝えしました。ここからは、モバイルオーダーシステムと配膳ロボットの導入効果を紹介します。
キャッシュレス化とあわせて導入が見込まれる、モバイルオーダーシステムについて、解説します。
モバイルオーダーシステムとは、スマートフォンのアプリを経由し、注文と決済を事前に完結できるサービスで、キャッシュレスを前提としています。
利用方法は、以下のとおりです。
などが現在の主な利用方法です。
モバイルオーダーシステムでは、顧客側と店舗側それぞれに、次のようなメリットがあります。
【顧客側のメリット】
【顧客側のデメリット】
顧客側では、時短が最大のメリットであり、スマートフォンを経由することに起因した不便さがデメリットとなります。
【店舗側のメリット】
【店舗側のデメリット】
店舗側では、業務効率化が最大のメリットとなり、高齢社会や手数料などの費用対効果に関わるリスクがデメリットとなります。
モバイルオーダーシステムには、メリットとデメリットがありますが、全体的には顧客満足度と従業員満足度がアップするとされています。
なお、高齢者層では、インターネット利用率は急速に上昇しており、スマートフォンの利用率も上がり続けいくことが予測されます。ここでは、参考として令和2年度に発表された総務省によるインターネット利用率の資料を掲載します。
(画像元:総務省「通信利用動向調査」)
60代以上のインターネット利用率が大きく上昇しており、今後のスマートフォンの普及率拡大に好影響をもたらすとみられます。高齢者層の多い店舗でも、モバイルオーダーシステムのデメリットは縮小する可能性があります。
飲食店でのモバイルオーダーシステムと配膳ロボットの併用は、非接触や効率化の点で相性がよく、イノベーションとエンターテイメント性を外食シーンで体験させてくれるでしょう。
このような最新設備がある飲食店で、私たちは、店舗にいる受付を兼ねた配膳ロボットから席番号を知り、テーブルについてからはモバイルオーダーで注文と決済を行うことができます。料理は配膳ロボットが運んできてくれます。
ポイントは、注文と決済を同時に行える点です。これまで飲食店では全ての注文をレジでまとめて支払うことが慣習でしたが、これからは注文のたびに支払いが完了するシステムが普及するといわれています。
飲食店でありがちな割り勘も問題ありません。現在、普及している電子決済アプリでは、特定の相手に送金することも可能なので、1つのメニューを複数人で取り分けてもスマートな割り勘ができます。
事業者側の努力は十分になされてきていますが、利用者側も時代にあったサービスを知り、利用することが大切だということがわかりますね。利用者側も、協働ロボットの存在を受け入れ、暮らしにつながるアプリを使いこなせれば受けられるサービスが増えてスマートな暮らしを実現できます。
モバイルオーダーシステムと配膳ロボットの併用は、国外ではすでに広がっています。国内でも一部のホテルやオフィスビルでの導入が進んでいます。
たとえば、1階部分にカフェ・お弁当屋があるオフィスビルで、上階フロアで働く人やホテル滞在客がオーダーするシーンをイメージしてください。(配膳ロボットとエレベーターシステムが連携していることが条件)
【顧客側のメリット】
【店舗側のメリット】
このような効果が期待できます。
配膳ロボットとモバイルオーダーを組み合わせることで、スタッフは人にしかできない業務に集中することが可能となり、顧客満足度と従業員満足度は上昇するといわれています。
この効果は、オフィスビルの事例ですが、スポーツ・レジャー施設や病院、学校などさまざまな場所で活躍が期待されます。
2記事にわたり、飲食店とDXに関連する情報をお届けしました。今回はDXにつながるキャッシュレス化とモバイルオーダーについて、次の項目にフォーカスし紹介しました。
なお「外食産業もDX時代へー前編ー」では、飲食店のDXについての情報をお届けしています。ぜひ、あわせてご覧ください。
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