2021年10月27日
この記事では、中国メーカーの配膳ロボットの安心・安全をお伝えするため、中国の技術が高い理由を解説します。中国の産業政策や技術教育に触れ、ロボット事情についての情報をまとめています。
中国メーカー製品について不安をもつ経営者の方が、中国の技術力に興味を持っていただければうれしいです。
Index
はじめに、中国が世界に先駆けてサービスロボットを普及している背景を解説します。
ロボット大国の中国において、もっとも注目が高まっているのがサービスロボットです。
サービスロボットとは、人が暮らす空間で共に働くロボットのことで「協働ロボット」「コボット」(collaborative robot)と呼ばれています。
中国で普及しているサービスロボットには、
などがあります。今般の、世界的な感染症拡大をきっかけに、さらにサービスロボット市場の需要が拡大している状況です。
かねてより、人と共存するロボットは、世界に先駆け、中国文化に溶け込んでいました。
なぜ、中国で配膳ロボットが感染症拡大に陥る前からシェアを広げていたのでしょうか。つぎのような背景があったといわれています。
上記は一例ですが、人手不足や人件費削減、文化の違いなどさまざまな事情が関連しているようです。
ビフォアCOVIT-19の時点で(2019年度)世界におけるロボット販売台数は、中国が4割を占めていました。
(データ元:NEDO『中国ロボット産業の動向』)
アフターCOVIT-19では、いくつかの民間調査によれば、大幅に販売台数が増加していることが明らかになっています。
サービスロボットの中でも特に、需要が高まっているのが配膳ロボットです。
中国のサービスロボット市場は、アフターCOVIT-19による生活様式の変化が勢いを加速、さらに飛躍しています。市場競争の激化により、各社がコストパフォーマンスのよい配膳ロボットを刷新している状況です。
配膳ロボットの需要は、2010年代半ばから高まっていました。人手不足の解消や重労働の軽減、人件費削減などを目的に、ホテルや飲食店、入院介護施設などで配膳の役割を担ってきました。
世界的な感染症拡大により、このような従来の効率化・省人化という目的に加え、感染対策がロボットと協働する大きな目的に加わりました。まさに、これらを満たす配膳ロボットが時代にマッチし、急速にシェアを拡大しているのです。
もともと市場に存在していた製品にも関わらず、非接触を実現する配膳ロボット。改めてその可能性が脚光を浴び、さらなる需要の高まりが見込まれています。
また、サービスロボットを含め最先端技術を、世界に先駆けて受け入れた中国は、中国国内においても、高度な科学技術の発展を推し進めています。
代表的な政策に、「中国製造2025」(2015年)「経済特区」(1980年前後)などがあります。
つぎに、中国で起きている産業事情を紹介します。中国では、高度な技術力の進化がとまりません。なぜ、たしかな技術力が世界から評価されるようになったのか、背景に触れながら紹介します。
中国政府は、メイドinチャイナを本格化し、製造強国を目指すことを行動計画とする「中国製造2025」を2015年に発表しました。
中国製造2025とは、つぎの2点を軸とした、製造強国としての世界トップを目指すための政策です。
これまでも、製造大国と呼ばれていた中国。この政策では、高度な技術力に主眼をおいています。大量生産ではなく、高品質な生産へシフトしていくことが注目点です。
また、中国製造2025では、目標達成へ向け3つのフェーズに分けられています。
上記のように計画がなされました。(参考:経済産業省『中国における第四次産業革命の動向について』)
世界中が、今後の中国製造市場から目を離せない状況となっています。
経済特区とは、経済発展を目的に、税制の優遇措置や規制緩和の定めなどを設けて、より自由に企業活動を行えるように国が指定した地域のことです。
中国の経済特区は、深圳(シンセン)・珠海(チューハイ)・汕頭(スワトウ)・厦門(アモイ)の4地域が指定されています。他、多数の地域が経済特区に準ずる特区としての指定を受け、国全体で経済発展を推し進めています。
とくに、アジアのシリコンバレーと呼ばれる深圳は、世界が注目するスマートシティとして異彩を放っています。
経済特区のなかでも、特に最先端の試みで世界を魅了している中国広東省・深圳(シンセン)。Pudu本拠地でもある深圳は、1980年、中国初の経済特区に指定され多くのイノベーション企業の本拠地となっています。
深圳では、コンビニの無人化や、飲食店の無人調理などが取り入れられてきました。地下鉄など交通機関や食料品の買い物は、基本的にキャッシュレス化され現金ではできません。
スマートシティを実現している深圳には、中国国内のみならず、世界中からその進化を見るためビジネス観光客が集まります。
感染症拡大を機に、街を巡回するゴミ回収ロボットや、飲食店の配膳ロボットなども本格的に導入されるなど、サービスロボットが街の一員として共存しています。利益のなかった種類のロボットたちは、この街での実験後、市場に出回ることなく姿を消していくようです。
ちなみに、配膳ロボットについては、深圳のみならず、多くの地域で既に導入が進んでおり、急速にシェアを拡大しています。その勢いは中国国内にとどまらず、日本にも上陸しています。
このように、都市をまるごとIT化するという、かつてない試みが深圳で起きているのです。
深圳には、多くの世界的企業の本拠地があり、世界中からビジネスパーソンが集まります。
一方、深圳郊外では、日雇い労働や月単位雇用で働く低所得層の人々も多くいます。重労働で低賃金であるにも関わらず、この街で暮らすことを選ぶ若い人々が増えているそうです。若手起業のメッカとしても、憧れの街となっています。
若手起業家や最先端の教育を受けてきた若い人材に、今後の中国技術を担う中核としての活躍が期待されています。
さいごに、中国の技術がたしかなものとして、世界シェアを広げている背景を教育面から紹介します。
中国には「中国科学院」という政府直属の最高研究機関があります。
中国科学院(1949年創立)は、科学技術分野における世界最大の研究機関とされ、7万人以上が在籍しているとのことです。つぎのような活動を行っており、科学技術研究の中心的な存在となっています。
この、中国科学院は、中国国内の大学への指導もしており、中国全体での科学技術レベルが底上げされています。その成果は、論文の本数に現れているとみられます。
2017-2019年の論文本数は、中国がはじめてアメリカの論文本数を抜き世界トップとなりました。
(参考:文部科学省,科学技術・学術政策研究所『科学技術指標2021,調査資料-311,2021年8月)
科学技術の発展が進んでいる理由には、世界トップレベルの教育が行われているといった背景があるのです。
ここまで、中国のロボット事情について紹介しました。
上記の内容をお伝えしました。今回は、やや細かい内容となりしたが、安心して配膳ロボットの導入をご検討いただくきっかけとなれば幸いです。
サービスロボットについてのご興味・ご不明な点・ご質問などありましたらお気軽にご連絡下さいませ。