2022年3月2日
今回は、名古屋市周辺の配膳ロボット導入事例をピックアップして紹介します。また、withコロナでも業績を維持する焼肉店の秘密を探ります。焼肉店は、店内に煙が充満しがちになることから、もともと換気に気を使う業態です。そのため密閉状態になりにくいとされ、コロナ禍の外食で人気を得ています。詳しくみてみましょう!
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名古屋市内における配膳ロボットの導入事例を、ニューストピックなどから抜粋して紹介します。
焼肉店を営む「肉の夜市 大曾根店」(名古屋市北区)では、配膳ロボット「PEANUT」を導入しています。食のエンターテイメント性アップが狙いとのことです。看板メニューである巨大な松坂牛をのせて、店内を効率よく動きまわり、お客様からも大人気の様子。ロボットには、お客様から親しまれるネーミングをほどこし、店舗スタッフの一員として活躍中です。
また、セルフオーダー端末とセルフレジ連動システムも導入しており、いちはやく飲食店DXを実現している店舗として注目が集まります。
味噌カツをはじめとする名古屋名物を堪能できる「キッチンマツヤ」(名古屋市中区)では、配膳ロボットとスマートフォンオーダーシステムを導入。昭和37年から営業を続ける老舗であり、古くから地域の人に愛されてきました。コロナ禍でも、みんなに愛される店舗づくりに励んでいます。
お客様がスマートフォンからオーダーを行い、配膳ロボットが料理を運搬します。コロナ禍でも地域の人たちが、安心して食事ができる工夫をほどこしています。
「焼肉の和民」(名古屋市中村区)では、配膳ロボットと特急レーンを併用しています。もともと居酒屋として営業していた店内には段差があります。そのため異なるマシンを併用することで、配膳ロボットの苦手な段差という課題を解決しています。
しゃべる配膳ロボットは、コミニュケーションをとりながら、配膳・下げ膳を担当しています。もともと居酒屋だったこの店舗では、焼肉店へ業態変更したことにより、接触機会を最大8割削減できたとのことです。
ワタミでは、2020年に「居食屋の和民」から「焼肉の和民」への業態変革を行っており、テックレボリューション(東京都豊島区)が提供する「飛沫可視化サービス」を導入しました。飛沫可視化サービスとは、IMU搭載3Dレーザースキャナーといった技術を利用して建物内に浮遊する飛沫の経路を可視化、感染症対策の課題を明確化するシステムです。
ワタミでは、業態変更とあわせて、技術面でも感染症対策に配慮した飲食店運営をいち早く実現しています。(参考:株式会社テックレボリューションHP内『飛沫可視化サービス』)
コロナウイルス感染拡大によって大きな痛手を受けている飲食業界ですが、焼肉店は業績を維持しています。さらに、配膳ロボットとの相性も良く、飲食業界復活の道筋を照らす存在となっています。これらの理由を詳しく解説します。
焼肉店では、無煙ロースターにより常に換気が行われています。無煙ロースターとは、肉を焼いたときに出る煙が、室内に充満しないようにする設備のことです。この無煙ロースターが、コロナ禍における焼肉店での食事不安を軽減させることにつながっています。
焼肉店の換気効果が飲食業界で注目を浴びるなか、名古屋市名東区に本拠地を置くシンポ株式会社では、換気についての独自解析を行なっています。解析によれば、焼肉店の空気が入れ替わる量を、建築基準法により算出した結果、一般飲食店に比較して6.6倍の換気量であることを結論づけています。
一般飲食店では、客席全体の空気が入れ替わるには24分かかるところ、焼肉店では3分半で循環するとのことです。無煙ロースターにより、肉を焼くときに出る煙と一緒に店内の空気が一掃されているのですね。(参考:換気量資料 (shinpo.jp))
なお、無煙ロースター国内60%のトップシェアを誇るシンポ株式会社は、愛知県の優れたモノづくり企業に付与される「愛知ブランド」称号を取得しています。
日本フードサービス協会による統計を参考に、繁忙期である年末(12月)の売上高状況を整理します。withコロナ時代とされる2020年・2021年のデータをピックアップします。
【2020年12月】ファストフード売上高前年比97.0%/ファミリーレストラン売上高前年比78.2%/居酒屋売上高前年比39.1%
【2021年12月】ファストフード売上高前年比104.9%/ファミリーレストラン売上高前年比112.9%/居酒屋売上高前年比144.3%
焼肉店を含むファミリーレストランの売上高は、ファストフードよりもコロナ禍の影響を受けていることがわかります。居酒屋は深刻な影響を受けていることが一目瞭然です。
ファミリーレストラン全体では、2021年12月は、前年に比較して112.9%と回復しているようにみえますが、洋風業態ではアルコールキャンペーンなどの追い風が回復要因となっています。和風業態では少人数宴会需要を取り戻しやや回復しています。ですが、2019年度と比較すれば87.2%であり、コロナ禍以前の売り上げ水準には届いていません。
一方で、中華業態と焼肉業態では、コロナ禍前と同じ水準に回復しています。特に、テイクアウトの難しい焼肉店が業績を維持していることに、業界内の注目が集まっています。(参考:日本フードサービス協会『2021年12月市場動向調査時系列データ』)
飲食業界では、焼肉店業態がwithコロナ時代を生き抜く1つの打開策として注目が集まっています。感染拡大に伴い、焼肉店では換気の良さが評価され、業績を維持してきました。少しでも安全に外食をしたい人にとって、焼肉店はこれまでよりも身近な外食先候補になっていくでしょう。また、一人焼肉も流行りつつあります。
これからの業績が期待される焼肉店と配膳ロボットは、相性が良いと期待されます。次のような理由があります。
配膳ロボットとあわせて、自動案内やセルフレジなどのデジタル技術を取り入れることは、より大きな安心につながります。空気が循環されていることに加えて、非接触の対策がなされていれば、さらに外食意欲が高まる可能性があります。配膳ロボットを導入することで、外食に不安のある人も安心して来店できるようになるでしょう。
愛知県は、サービスロボットの社会実装に積極的に取り組んでいます。ロボット実装社会に向けた取り組みの一例を紹介します。
ものづくりに古くから勤しむ愛知県では、ロボットとの協働社会を実現させるために「あいちロボットトランスフォーメーション(ARX)」を2019年より継続的に実施してきました。
ARXでは、スポーツ施設やビル施設などで、サービスロボットの活用効果を測る実証実験を行っています。実証実験では、配膳ロボットや消毒ロボット、点検ロボットなどの導入メリットを観察し、その特徴を生かす方法を模索してきました。
これまで数多くの場所で、サービスロボットの実証実験が行われています。一部の例として次のような実績があります。
愛知県では引き続き、このようなシーンで活用できるサービスロボットの普及を推進していくとのことです。また、サービスロボットは、使い方次第で多くのシーンで活用できるゆえに、ロボットと業種・業態を適切にマッチングできる人材の育成が急がれています。
まだまだ、サービスロボットの実証・普及は始まったばかりです。飲食店では感染症対策を機に、配膳ロボットの導入が速やかに進んでいます。ですが、多くの業界ではサービスロボットの導入に踏み切れていません。専門家の監修や企業の意見などを取り入れ、適材適所なロボット配置を目指している段階にあります。
これからの飲食業界では、焼肉店のような効果のある換気システムの導入や、配膳ロボットによる配膳・下げ膳、スマートフォンオーダーなどがニューノーマルになるとみられています。社会情勢による負担が大きい中ですが、配膳ロボットの導入も打開策としてご検討ください。
サービスロボットについてのご興味・ご不明な点・ご質問などありましたらお気軽にご連絡下さいませ。