2021年10月19日
この記事では、配膳ロボット市場の状況と、今後の動向についてまとめています。配膳ロボット市場の様子が気になっている経営者の方へ必要な情報をお届けいたします。
つぎの内容にフォーカスしてまとめています。
配膳ロボット導入の検討材料としてご覧ください。
Index
はじめに、配膳ロボットを含む、協働ロボット市場について紹介します。
配膳ロボットなど、人と共に働くロボットを、協働ロボットと呼びます。感染症の拡大を機に、協働ロボットをめぐる市場全体としてV字回復している状況です。
(画像データ元:Interact Analysis )
また、世界規模でみた、2018年から2024年の5年間における協働ロボットの出荷量は、多くの地域で増加するとみられます。
日本では特に、少子高齢化の影響で人手不足が深刻化します。協働ロボットの導入は、解決の糸口となるでしょう。
また、さまざまな民間のマーケティング調査が進行中です。配膳ロボットを手がけるベンダ企業の状況について、つぎのような動向が見込まれるとのことです。
世界的なウイルス感染拡大をきっかけに、サービス業界に関連したロボットをとりまく市場の動向は大きく前進しているのです。
現状では、配膳ロボットを今すぐに導入できる店舗は多くありません。配膳ロボットを導入するために、リフォームが必要であったりするからです。
ここでは、世界共通のシェア拡大にともなう課題の大枠を解説します。サービスロボット導入のための、細かな課題は割愛します。
配膳ロボットを理想的な形で導入するために必要な環境例は、つぎのとおりです。
1.施設の物理特性の標準化
…ロボット導入に必要な、通路幅・床の材質・電源供給量・湿度などの物理的な共通条件を、おなじ規格や環境にすることです。ロボットメーカーと飲食店舗設計者などがスムーズに導入を進行できるようになります。
数年前までの携帯電話や、パソコン周辺機器にみられたように、機器によって充電方法や接続方法がちがうと大変不便です。日本製の家電が、海外ホテルのプラグに合わず使えないというような問題も経てきました。
このような事態にならないよう、ロボットの充電設備を共通の企画に標準化するなどの対策が始まっています。(開発会社が異なっても必要な部分を同じ規格にする)
2.消費者も含めた安全のための理解促進、人共存運用ガイドライン整備
…ロボットと安全に共存するために、顧客側も理解しておく共通事項のことです。ロボットと協働する事業者側も、ロボットからサービスを受け取る一般消費者側も知っておく法律のようなイメージです。
このような飲食店独自の運用整備について、国レベルでの検討がなされています。
配膳ロボットの市場拡大を目指すにあたり、サービスを提供する側だけの努力では、壁にぶちあたります。ひとりひとりの行動や意識が、ロボットとの共存に適応していくことが大切な課題です。(参照:経済産業省ロボット実装モデル構築推進タスクフォース活動成果報告書 2020年3月 )
つぎに、なぜ今、配膳ロボットの需要が拡大しているのか解説します。
配膳ロボットは、飲食店や介護施設で活躍します。感染症対策、補助金制度が進んでいることが需要拡大の要素としてあげられます。
感染症への不安感には、個人差や地域差が影響します。配膳ロボット導入による、飲食店での非接触化は、感染症への不安を低減することができる方法のひとつです。感染症とともに生活する時代が続いていくなかでも、顧客離脱を予防することが期待されます。
また、非接触の実現のために、補助金制度などの拡充が進んでいます。たとえば、
などがあげられます。補助金・助成金が活用できることも、配膳ロボットの導入が急ピッチで進んでいる理由のひとつです。
日常生活のなかでも、店舗の受付などロボットと接触するシーンが増えています。
2020年半ばより、飲食チェーン店などの受付に愛らしい姿のロボットが立っている場面が急激に増えてきました。機能としての無人化ではなく、機能を持つロボットが、日常のなかに協働し、共存する光景がところどころで見られるようになってきました。
身近なところでロボットが目に入る機会が増え、社会に少しずつ溶け込んでいる協働ロボット。はじめは抵抗を示した人も、今となっては日常の一部になっていることでしょう。
このように、ロボットが浸透したタイミングだからこそ、サービス業での導入がポジティブ戦略となっているのです。
配膳は、料理を運ぶという接客サービスのメインともいえる仕事です。この業務を、ロボットに業務移行するタイミングは、高度かつ繊細なマーケティングが必要な課題でした。しかし、非接触の実現という機会とともに大きく前進しました。
いま、人類全体が気候変動や感染症、格差など、過去にないほど多くの課題を抱えています。
さまざまな問題を世界全体で、解決に向けて、安心して暮らせる世界をつくっていこうという取り組みがなされています。これが「持続可能な開発目標=SDGs」です。
SDGsでは、2030年までに達成するべき17の目標を、国連が策定しました。
この目標のなかには「産業と技術革新の基盤をつくろう」「働きがいも経済成長も」という目標があります。配膳ロボットの導入は、この目標に沿っていると考えられます。
配膳ロボットは、感染症の対策で、一時的にシェアを拡げているのではありません。国際的な目標であるSDGsにマッチしたものだからシェアが拡大しているのです。
さいごに、配膳ロボットが社会にどのような変化をもたらすのかお伝えします。
人手不足は、飲食店にとって慢性的な課題です。人手不足の解消を目的に、これまでもシーンに合わせたIT端末導入に取り組んできました。
などの導入が進んでいました。
しかし、店内を移動して作業するといった高度な働きを自動化することは、大変難しい課題でした。配膳ロボットの進出により、移動型ロボットの導入は加速するとみられています。
配膳ロボットが料理の配膳と下げ膳を担うことで、人手不足解消につながります。
つぎの例は、配膳ロボットの導入による即効性のある効果です。
などがあげられます。
サービス業に従事する人は「喜んでいただく」という思いを強くもって就業しています。そのため、次のような効果が働きがいを高める可能性があります。
このように、単純作業や重たいものを運ぶという物理的な業務負担が減ります。従業員は、その人にしかできない心遣いなどをお客様へ向けることが可能になります。
配膳ロボットによる従業員の負担軽減が、顧客の満足へつながり、それが業績向上に反映されます。働く人と消費する人に幸せをもたらす好循環が産まれます。配膳ロボットがその起点になりうるのです。
ここまで、配膳ロボットの市場規模や、今後の展望について解説しました。
ぜひ、配膳ロボット市場について、これからも見守っていただき、導入の検討材料となればうれしいです。
サービスロボットについてのご興味・ご不明な点・ご質問などありましたらお気軽にご連絡下さいませ。